生きるための経済学 〈選択の自由〉からの脱却

“見えざる手”の罠を解く。

歴史学・物理学・心理学・経済学……諸学を越え「市場/共同体」の彼方を問う画期的経済論!

私たちは「自由」に縛られている。

「消費依存」「ワーカホリック」「バブル現象」「環境破壊」……。
 現代社会の生きづらさはどこからくるのか。出来るかぎり自由であるために選択肢を増やそうと、私たちは貨幣に殺到し、学歴や地位の獲得に駆り立てられる。
 アダム・スミスから現代の市場理論にまで通底する、<選択の自由>という希望こそが現代社会を呪縛しているのだ。
 市場(イチバ)で飛び交う創発的コミュニケーションを出発点に、生を希求する人間の無意識下の情動を最大限に生かすことで、時代閉鎖を乗り越える道を探求する。著者渾身の市場経済論!

安冨 歩

やすとみ あゆみ

東京大学東洋文化研究所教授

東京大学東洋文化研究所教授。1963年生まれ。京都大学経済学部卒業後、株式会社住友銀行勤務。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手、名古屋大学情報文化学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科・情報学環助教授を経て、現職。著書に『生きるための論語』(ちくま新書)、『超訳 論語』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『生きる技法』(青灯社)、『原発危機と「東大話法」』『幻影からの脱出』(明石書店)、『もう「東大話法」にはだまされない』(講談社)、『経済学の船出』(NTT出版)、『生きるための経済学』(NHKブックス)、『複雑さを生きる』(岩波書店)などがある。『「満洲国」の金融』(創文社)で第40回日経・経済図書文化賞受賞。