関西国際空港―生者のためのピラミッド

軟弱な海底に石を積み重ねることから始ったこの大プロジェクトは、長い歳月と一兆五千億円の巨費を要してついに開港にこぎつけたが、未完の工事、莫大な償却前赤字等難問は山積している。公害と地域経済、地方分権、民活プロジェクトの将来―ここには現代日本の政治経済問題のすべてが関わっているのである。本書は現代のピラミッド建設過程を、参加して技術者、財界人、政治家、官僚の証言を通して浮彫りにする試みである。

佐藤 章

元朝日新聞記者。

東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部、月刊 Journalism 編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)などを経て、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。
著書に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)、『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)、『山形の政治』(未來社)、『密告される生徒たち』(朝日新聞社)、『ルポ内申書』(未來社)。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞出版)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。