レコードへの道 20220507

このレコードは、私にとって特別である。いや、特別というより神聖である。というのも、これこそが、中学生の私が、最初にハマったクラシック音楽のレコードだからである。聞きたかったのは、年度はじめに配布された音楽の教科書に出ていた「禿山の一夜」のほうで、あったが、「展覧会の絵」に圧倒された。文字通り、擦り切れるくらい聞いたはずである。

それゆえ、このレコードは、私の原点であって、評価することなどできないのである。そして、ムソルグスキー、ラヴェル、アンセルメの三者は、私の音楽趣味を決定的に規定した。

「展覧会の絵」については、片岡祐介さんとやっている名曲解読シリーズで紹介したことがある。要点は、ムソルグスキーが、親友のガルトマンを喪った巨大な衝撃から、その遺作展を見てが立ち上がってこの曲を2週間ほどで作曲した、という史実にある。この曲は、その過程を反映しているのである。何度も出てくるプロムナードは、亡きガルトマンの目に映ったムソルグスキーのありさまを映し出している。

そう考えると、苦悩と向き合い、一歩一歩立ち上がっていくムソルグスキーの魂の姿に、中学生の私は大いに励まされ、それ故にこのレコードを繰り返し聴いたのだと思う。最近、何十年ぶりかでこのレコードを聞いたが、ラヴェルの編曲とアンセルメの指揮は、その過程を的確に再現していると感じた。

2件のコメント

  1. 揚げ足取りのつもりはないのですが,亡くなった親友の画家は「ハルトマン (Гартман, Виктор Александрович)」でしたよ。
    カウフマンとの思い違いは何から連想されたんでしょうね。スチュアート?
    レコードの話,楽しみにしてます。

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