レコードへの道 その2:直流電源を使おう

オーディオで音楽を聴く場合、決定的に重要な要素で、多くの人が気にしていないことがある。それが、電源である。スマホやタブレットあるいはクルマのカーステで音楽を聴くと、割といい感じがする、と思っている人は多いのではないかと思うが、それには理由がある。それらの電源が直流の電池による、ということである。家庭のコンセントから取る交流電源は、ノイズが大きいのに対して、電池から得られる直流電源はノイズが小さいのである。交流電源でオーディオを動かして音楽を聴くと、そのノイズを同時に聞いてしまう。もちろん、そんなことはオーディオ会社もよく知っているので、その悪影響を排除するためのさまざまの装置をつけるのだが、その装置自体が、また音を悪くしている可能性がある。

それゆえ、一番簡単な方法は、電源を電池にする、ということなのだ。たとえば、アンプである。高いアンプを買うと、大きなアダプターが付いていて、本体の回路にも、電源由来のノイズを抑える機構が入っているのではないかと思う。私も、当初は二万円くらいするアンプを買って、それで純セレブスピーカーを鳴らしていたのだが、あるとき、純セレブスピーカーファンの人が、数千円の安物アンプに、電池をたくさん繋いで直流電源で動かしてみたところ、高いアンプより良い音がする、という報告があった。それで私も試しに、乾電池をたくさんかって、直列で12Vにして鳴らしてみたら、驚くほど音が良くなったのである。煉獄から天国に行った、というくらいノイズのレベルが違う。

しかし、乾電池を頻繁に取り替えるのはコストがかかるので、充電池にしてみたのだが、これはこれで問題があった。というのも、たくさんの充電式乾電池を充電するのが面倒なのである。それ以上に恐ろしい問題があって、頻繁に電池ボックスに、電池を出し入れしているうちに、電池の頭の周辺の保護膜を傷つけてしまったのである。ある日、電池ボックスに充電池を入れて音楽を聴こうとしたら、ボックスから煙が昇ってきたのである。おどろいて確認すると、保護膜が傷ついたところから漏電して、ショートして、あやうく火災を起こすところであった。

驚いて調べたら、乾電池というやつは、ちょっとしたことで火災を起こしたり、爆発したりする、危険なものなのであって、十分に注意して取り扱わないといけないのである。使用済みの電池を捨てるときにも、セロテープで電極をカバーして捨てないと、火災を引き起こす恐れがあるので、励行してほしい。それゆえ私は、充電式の乾電池でアンプを使うことは、絶対にやめた方がいい、と確信する。

そういうわけで導入したのが、防災用の蓄電池である。私が使っているのは、一番安い2万円台クラスのものであるが、残念ながら、これだと、乾電池よりはノイズがある気がする。オーディオ用には、もっと購入な電池を使わないといけないらしいのだが、あんまり金を突っ込むのは趣味ではないので、これでよしとしている。防災用の電池は、災害時にも使えるし、キャンプに行ったりした時にも便利なので、何かと役に立つので、これはオーディオを聴かない人でも、買った方がいいのではないか、と今は思ってる。

私の使っている防災用蓄電池の直流電源はUSBで、5Vなのだが、安物のアンプを動かすには、12Vにしなければならない。それには、5Vを12Vにする、昇圧ケーブルというものを買わないといけないので、注意してほしい。それから、アンプによって電源ソケットの直径が違うので、これも確認してほしい。自分の使うアンプの端子の外径と内径とがいくつになっているかよく調べて調達してほしい。くれぐれも、防災用蓄電池の交流電源から、ACアダプター経由で電気を取るなどという、何をしているのかわからないことはやらないでほしい。実は、それでもコンセントから取るよりはマシなのだが。

ちなみに私が使っているアンプは、Hydra Stone社の GP-AUDIO HA-GF01 というもので、数千円でネットで買える。Amazonのコメント欄を見ると、ACアダプターがおかしくて火を吹いたりしているそうなのだが、私は、蓄電池から昇圧ケーブルで動かしていて、今のところそういう問題は起きていないない。パワーがあって、スッキリしたいい音だと思う。

それ以外に、古いDENONのプリメインアンプをヤフオクで落札して使っている。これも本当は蓄電池でやるべきなのだろうが、今のところ面倒なのでやっていない。というのも、交流電源から、直流の蓄電池にためて、それをまた交流にしてアンプに流す、というのがアホくさくて、ちょっと嫌なのである。

☆註記:記事公開後に、読者から、蓄電池は「純正弦波」のを買わないと、電子機器が壊れたりするので、その点を書いた方が良い、というご指摘がありました。ご注意ください。と、書いたのですが、それは交流電源の場合のことで、直流電源使う場合には関係なかろう、とのことでした。しかし、交流電源でオーディオやパソコンを使うには、純正弦波でないといけないので、ご注意ください。

☆註記2:その後、ポータブル電源で12Vの直流を取れる数千円の充電池が販売されていることを知った。さっそく、 RoyPow というブランドのものを買ったが、これはすばらしい。これだと昇圧ケーブルがいらないし、いろいろケーブルがついてきて、それだけでも結構お得である。その上、強力な災害用充電池だと、アンプやフォノイコライザーなどを近くに置いておくと、充電池の発する電波を拾ってしまうという問題が発生するのだが、これは電力が弱いので、その作用が弱い。安物中華アンプを動かすには、これがベストだと思う。

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