レコードへの道 その10 本格的に組んでみる

そういうわけで、ターンテーブル、カートリッジ、針、プリアンプ、と揃ったので、いよいよ本格的にスピーカーを繋いでセットアップせねばならない。そのために、まずは物置同然になっていた2階の部屋を掃除して、荷物を整理し、スペースをつくり、レコードの棚を買い込み、といったさまざまの用意が必要であった。そして、かつて私が制作した純セレブ・スピーカーのなかから、二種類のスピーカーをこのアンプに接続することとした。

一つ目は、和紙の製造所へ行って、和紙の切れっ端をまとめて買ってきて、それを薪ストーブで延々と煮て手漉きした和紙で作った惑星モデルの最高級品「ジュピター」である。ユニットには、FOSTEX 社の往年の名品 FE103 の未使用のものをヤフオクで落札して、改めてセットした。
https://jun-serebu.net/jupiter/

もう一つは、かつて落札しながらも使いこなせていなかった、巨大だるまに、CORAL社の FLAT 6  をセットしたモデルである。

しかしこれではあまりにも真っ赤っかで、存在感がありすぎるので、木星っぽい感じにペイントしてみた。今は、赤ん坊に攻撃されないように、ダンボールに詰めてダンボールの上に乗っているが、こうしたら、音が良くなったような気もする。


もともとは、この二つのステレオのスピーカーのセットは、別々に運用するつもりであった。というのも、どちらも、フルレンジといって、すべての音域をカバーするユニットで、他のものと組み合わせるのではなく、単独で使う前提のものだからである。また、複数種類のユニットを混在させて使うには、両者のバランスを取ったり、といろいろな面倒が発生する。しかし、実際に繋いでみて、アンプにある切り替えスイッチを両方とも選択してみて、同時に鳴らしてみたら、非常にいい感じだったので、今では、4つのスピーカーを使って再生している。

音楽家の片岡祐介さんの考えでは、音楽家が自分でスピーカーを作ったり、アンプをつくったり、ということをすると、知らないうちに、自分のやっている楽器が一番よく再生されるものを作ってしまうものだ、とのことである。これらの純セレブ・スピーカーを制作している段階では、私は何の楽器もやっておらず、また主として聴いていたのはオーケストラの音楽であった。ところが、これらのスピーカーを本格的に運用してみると、弦楽器の再生に向いている、どころか、特化したようなものだったのである。

非常に面白いことであるが、もともと、私は、子どもの頃から、ヴァイオリンやヴィオラをやりたかったのだと思う。というのも、五歳前後の頃から私は、寝付きが悪かったのだが、どういうわけか、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のレコードを聴くと、すぐに安心して寝たのである。それは、なぜかというと、私の理論では、フェリックス・メンデルスゾーンが実は性自認が女性であり、そのことを知っていたのは姉のファンニーだけであって、このヴァイオリン協奏曲はそのことを表現している音楽だからだ、と考えている。この点については、以下の動画をご覧いただきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=18FChBCaxDw

しかし、私の生育環境では、ヴァイオリンを習うというようなことは、思いもしないことであった。それゆえ、私は、その思い自体を自分が抱いているということ自体を、自らから隠蔽していたのだと思う。この無意識の作動のために、私は、弦楽器が良く鳴るスピーカーを製作していたのだと思うのである。

1件のコメント

  1. オリジナルのスピーカー素敵です。
    良く眠れる音楽とめぐり逢いがあって本当の自分を理解すること自分を大切にできること受けいれることができると楽になると思いました。
    文章が苦手ですみません。
    安富さんは経歴が凄すぎますけど一月万冊でなるほどと思い分からないこともありますが勉強になります。

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